ダブルコンフィー
探偵ナイトスクープのひとコマ

(実際の放送の模様を文章にまとめました。このTV番組は視聴者の素朴な疑問や、困った問題を解決するべくレポーターが調査をするという
人気番組です。放送内容は変えずに読みやすい言葉に変更してあります。何卒ご了承くださいませ。)

男性レポーター:
「小学生のお子さんからの投書です。
お父さんの工具箱の中がなぜか大便のニオイがします。
そのニオイを取ってください。 それからおへそも同じようにニオイます。
よろしくお願いします。」
◆◆◆工具箱を小学生が持ってくる。◆◆◆
男性レポーター:
「工具箱の外はにおいませんね。」
小学生2人:
「中が…。」
◆◆◆工具箱を開ける。◆◆◆
男性レポーター:
「う、これ本当にくさいです。明らかに大便のニオイですね。」
お父さん:
「工具箱の中に大便なんてしていません。
ちゃんとしたニオイの専門家に調べてもらいたいですね。」
男性レポーター:
「ニオイと言えば毎回おなじみの山本香料の山本先生です。」
山本先生:
「こんにちは。」
男性レポーター:
「なんとかこのニオイを消す方法は?」
山本先生:
「香水でもパーツに分けていくと、こんなニオイの香料があるんですよ。
くさいんですけど。」
男性レポーター:
「え、そんなの誰も買わないでしょう。」
山本先生:
「いや、それがちょこっと入っているだけでいい香りになるんです。
そのニオイを利用していい香りを作りましょう。」
山本先生:
「もともと動物から取った香料があるんですね。
これはめずらしいんですけれどもジャコウネコという猫がエチオピアにいるんです。その猫からわずかに取れる分泌物があるんですよ。
これが非常に大事な香水の原料に昔からなっているんですよ。」
◆◆◆ジャコウネコの分泌物を試験紙に塗って差し出す。◆◆◆
山本先生:
「これは生(なま)ですから。」
男性レポーター:
「嗅がせていただきます。うわ、くさいです。便のニオイだ。」
山本先生:
「これを薄めて香水の中に入れるといい香りになってくるんです。」
◆◆◆山本香料の研究室にて。◆◆◆
◆◆◆ジャコウネコの分泌物の入った香水を手に持っている。◆◆◆
山本先生:
「これは青い香りがいっぱい入ってます。草原の香りです。
その草原の中に大便がひとつ落ちている状態です。大便が入っているけどいい香りになっています。」
男性レポーター:
「これめちゃめちゃいいニオイ。どうです?」
お父さん:
「いいにおい。」
小学生2人:
「いいにおい。」
お母さん:
「本当。」
山本先生:
「じゃあ、この草原の香りからジャコウネコの成分を取り除きます。
それを今から作ります。」
男性レポーター:
「あ、先生のやり方が分かった。引き算だ。」
山本先生:
「そう、引き算。」
山本先生:
「そしてこの機械はうちの秘密兵器。アロマトロン。」
男性レポーター:
「これは確かに秘密兵器だ。」(アロマトロンはコンピューター制御で香料を自動的に調整する世界に1台しかない機械。)
男性レポーター:
「あ、作り始めた。」
◆◆◆試作品の香料が完成する。◆◆◆
山本先生:
「これはジャコウネコの香りの入っていない草原の香りです。」
男性レポーター:
「あ、いいにおい。だけどなんかこれ嗅いでいると強く感じる。」
山本先生:
「大便のニオイが加わることでマイルドになるんです。ふり掛けます。」
◆◆◆工具箱の中にシュッシュッとスプレーしフタをする。◆◆◆
◆◆◆3分後。◆◆◆
◆◆◆お父さんと小学生2人が工具箱のフタを開けて中を嗅いで驚く。◆◆◆
お父さん:
「あっ、くさくない。」
小学生2人:
「ほんと大丈夫だ。くさくない。」
お母さん:
「うん。くさくない。」
男性レポーター:
「すごいです、先生。やりましたね。これは素晴らしい足し算です。
でも実はもうひとつ悩みがあるんです。お父さんのおへそもにおうんです。」
お父さん:
「本当にすみません。」
◆◆◆指をおへそに入れて山本先生に差し出す。◆◆◆
山本先生:
「わあ、くさいです。」
◆◆◆工具箱と同じようにおへそにスプレーする。◆◆◆
◆◆◆もう一度おへそに指を入れて山本先生に差し出す。◆◆◆
山本先生:
「いい香りですよ。」
男性レポーター:
「本当だ。お母さん、嗅いであげてくださいよ。」
お母さん:
「いいにおい。くさくない。」
小学生2人:
「うん。大丈夫。」
男性レポーター:
「お父さんのおへそはもういいにおいですよ。」